バーゼルの感染症専門医の推計によると、スイスでは年間100~300人が病院内でインフルエンザに感染し、死亡していることが分かった。院内感染の最大の理由は、病院スタッフの多くが予防接種を拒否しているためとされる。
インフルエンザに院内感染した人の数や、それにより死亡した人の数を把握した全国的な統計はスイスにないが、唯一、ジュネーブ大学病院がそうしたデータを収集している。それを基に、スイス全国で年間どれだけ多くの人がインフルエンザの院内感染が原因で死亡しているのかを、スイス感染症専門医協会(Swissnoso)会長でバーゼル大学病院衛生管理部長のアンドレアス・ヴィトマー医師が推計した。
それによると、インフルエンザに院内感染し死亡する人は全国で年間100~300人。日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥングは、この数は交通事故の年間死亡者数に匹敵すると報じている。
院内感染の主な理由に、予防接種を受けていない病院スタッフがウイルスに感染し、そのまま患者に接触してしまうことが挙げられている。そのためヴィトマー医師は同紙で「医師や看護師など、予防接種を受ける病院スタッフが5割以上いれば、院内感染はかなり防げる」と強調している。