スイスの絵はがき出版社「フランコ・スイス」は最近、1920年から70年までの写真アーカイブをネット上で公開するサービスを始めた。写真は、失われたスイスの風景を写しているだけではない。フォトショップが登場するだいぶ昔から、写真の加工・修正が日常茶飯事に行われていたことも伝えている。
写真に写るのは、観光地の風景など現在の絵はがきにもあるような典型的なモチーフだけにとどまらない。農村地帯のあまり知られていない村々の様子を写した写真は、今では都市郊外として発展している地域が、以前はほとんど人の行き来がなく自然豊かな土地だったことを伝えている。また、冬には低地にもたくさんの雪が降り積もっていたことを写真は記録している。
このアーカイブでは、絵はがきが元の写真から最終製品へと加工されていく工程も見ることができる。フォトショップなどの写真加工プログラムが登場するずっと以前から、写真の合成はよく行われていた。例えば、邪魔な人たちや、見栄えのしない電話線を消去したり、木に雪がかぶっているかのように加工したり、背景をアルプスのパノラマ風景に取り換えたりすることがよくあった。
(文・Gaby Ochsenbein/swissinfo.ch、写真編集・Ester Unterfinger/swissinfo.ch)